2013年07月17日

法人銀行印に彫る文字

法人の銀行印、一般的には二重丸の印鑑です。

これに彫る文字ですが、法人実印と同様、外側に法人名を、内側に代表者の氏名または役職名を彫るのが一般的だと思っていましたが、このところお客様から、内側には「銀行之印」と彫るのではないですか?とご質問いただくことが何度かあったので、ネットで他店を見てみると、ほとんど「銀行之印」と彫っています。

10年くらい前まではあまりなかったと思うのですが、私が知らなかっただけなのでしょうか。

確かに実印と区別できて分かりやすいですし、特に決まりがあるわけではないので、何を彫ってもいいのですが、私の考えが古いのか、違和感があるのです。

「銀行之印」というと「銀行が所有する印」という印象を受けるのと、
「銀行之印」と彫るなら、実印は「実印」と彫るはずでは?と思うのが理由です。
屁理屈かもしれませんが、みなさんはどう思われますか?

はんこ屋の方もそれ以外の方も(匿名でもかまいません)ご意見いただけると嬉しいです。
(もちろん「銀行之印」と彫るのを拒否しているわけではありません。ご注文どおりに彫ります。参考までにご意見をお聞かせいただきたいだけです。)

よろしくお願い致します



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2013年06月28日

実用印と篆刻の違い

私の作る意識として実用印と篆刻に違いはありませんが、
実用印の場合、制度上の決まりや、実用的にも、
どうしても篆刻と違う面があります。

実印として印鑑登録する場合、
印鑑条例で枠を欠けさせてはいけないことになっています。
銀行でも欠けているものは登録できないので、これは実用印共通の決まりです。
文字も欠けさせてはいけないように書いてある自治体もありますが、
字画を欠けさせて雰囲気を出す古印体はどの自治体も認められているので、
この辺りは曖昧です。

篆刻は古い印の雰囲気を出すのに枠を欠けさせることがほとんどなので、
これで実用印と篆刻はかなり違う印影になってきます。

それから甲骨文字や金文などの篆書よりも古い書体も自治体によっては認めていませんが、篆書とそんなに違わない字もあるので、どこからダメという明確な基準などはないと思われます。
ただ、甲骨文字で作りたい場合、実印では、小篆を甲骨文字風にしたものにしておくのが無難です。

「自己流のくずし字や極端な図案化」したものも印鑑条例ではダメとなっています。
篆刻では印相体なんてありませんが、実印でも「自己流のくずし字」はダメとあるのに印相体が登録できるのはナゾです。
(印相体を考えた人が政治家に人脈があるのかな。)

条例に枠の形の規定はありませんが、
実用印はなぜか丸で作ることが多いので、
四角が多い篆刻とは、ここでもかなり違うものになってしまいます。
(角印を実印にしても問題ありません。昔は結構ありました)

一方、篆刻も本来は落款として署名に印を添えるものなので、
証明の道具であり、実用品なのですが、
漢詩などを使いようがない大きさで彫るようになっていて、実用とはかなりかけ離れてきています。

篆刻界にもハンヤの業界団体にも属していない立場で見ると、
どちらも少し変な発展の仕方をしているのでないかと感じるのです。
上手いこと、整っていることのみを重要視して、より機械的な印影になっている実用印。
芸術性や権威性を重要視するあまり、実用から離れていく篆刻。
制度の縛りがあるという違いはあれど、
もとをたどれば、どちらも証明の道具のはずですが、
どちらもそこから離れていっているように感じます。

posted by 上野雄一 at 14:37| Comment(0) | TrackBack(0) | はんこの話 | このブログの読者になる | 更新情報をチェックする

2013年06月03日

篆刻について補足と修正

今まで篆刻について書くのは、少し敬遠していたところがあります。

なぜかというと、私は篆刻について誰かに師事したことも、ちゃんと習ったこともないので、
専門家から見れば薄っぺらな内容になると思いますし、
間違うことも多いだろうと思っていたのです。

3月の忙しさのストレスから
篆刻したい病(別名、現実逃避)にかかってしまったため、
ここのところ篆刻について少し書いていましたが、案の定いくつもおかしなところがある・・・

まず、補足というか、
握刀法を試すということだったのですが、
これで彫ったのは「関東」と「甲信越」の最初の試作だけです。
その後はふだんの双鈎法に戻しました。
なぜなら彫り味にあまり差がないことが判明。
それなら彫りやすいほうということで戻しました。

で、なぜこの双鈎法になったのか考えてみたのですが、
仕上げ刀の持ち方と同じだと気付きました。
私は仕上げの時よほど大きい角印でない限り篆刻台に挟みません。
(確か訓練校で習っている時こうして彫っていたら先生に怒られた。笑)
もっと言えばちょっとした粗彫りなら篆刻台に挟まないでやってしまいます。
もちろん一から手彫りをする時は流石に篆刻台に挟みます。
めんど臭がりなんだと思います。
作業を省いていったら、この彫り方になっていたようです。

それから訂正1。
東北と彫ったところで
「左利きは側款や楷行草書が彫れない」
と書いたのですが、訂正します。
側款が彫りにくいのは事実ですが、
楷行草書はむしろ彫りやすいのではないかと思い直しました。
(側款とは印材の側面に「誰が彫った」とか「いつ彫った」とか刻んだもののことです)

側款は逆さ文字ではなく正字で彫ります。
楷書が多いので、字は右上がり。
左利きは自然には右上がりにならないので、
側款が彫りにくい。
逆に逆さ文字の楷行草書は彫りやすいはずです。
普段側款も楷行草書も彫ることがないので、思い込みですね。

さらに訂正2。
彫り方で、双鈎法は引いて彫る。
単鈎法は押して彫る。
と書いたのですが、書籍を見るとあまり関係ないかもしれません。
自分が双鈎法で引き刀なので、
そうだと思い込んでしまいましたが、
書籍に双鈎法で押して彫っている写真が載っていました。

うーん・・・普段あまり考えていない証拠。

っていうかさぁ、彫り方とか理屈じゃないんだよ。
印刀持って彫りゃあいいの。

え? はい、言い訳です、すみません。

posted by 上野雄一 at 23:43| Comment(0) | TrackBack(0) | はんこの話 | このブログの読者になる | 更新情報をチェックする

2013年05月20日

篆刻の彫り方

こども商店というイベントで篆刻を体験してもらった時、
改めて篆刻の彫り方を意識しました。

自分では意識しないうちに、自分なりの彫り方になっていたのですが、
独学ではじめた当初は、入門書に載っている彫り方を色々試していたのを思い出しました。

しかし、改めて他人の彫り方を目にするまで、
自分ではどう彫っているのかはあまり意識しなくなっていました。

で、改めて書籍を読み返してみると、
印刀の持ち方は主に3種類あるそうで、
私は主に双鈎法です。
touhou1.jpg
印刀の上に人差し指と中指の2本をかける持ち方で、お箸の持ち方に近いですかね。
刀を手前に引いて彫ります。
今は篆刻台も使いません。
印材を直接手に持ったほうが楽に彫れると思います。
楽なので、この彫り方になりました。

次に単鈎法です。
touhou2.jpg
双鈎法に似ていますが、中指が印刀の下にきます。
鉛筆の持ち方に近いと思います。
子供たちはこれに落ち着いたようでした。
おそらく篆刻台を使うと、これがしっくりくるのだと思います。
主に押して彫ると思いますが、
押し刀で長い線を彫ると、刀が抜けやすいのと、
曲線が彫りにくい気がします。

そして、もう一つ、握刀法です。
touhou3.jpg
ガッチリ持ちです。
力が入るのですが、逆にコントロールが難しかったので、これはしばらく使っていませんでした。
特に初心者はやらないほうが賢明だと思います。

自分だけでやっていると、改めて彫り方を考えたりしないので、
いいきっかけになりました。

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2013年05月12日

山田正平のお墓

運転免許更新のため府中試験場に来た。
なかなか一人になることが少ないので、ついでに向かいの多摩霊園ヘ。

目的は山田正平のお墓。
一般のかたは誰だかわからないと思いますが、すごい篆刻家です。

篆刻家としても異彩を放っていましたが、お墓もしかりです。

前面には作品が刻されています。
posted by 上野雄一 at 16:34| Comment(0) | TrackBack(0) | はんこの話 | このブログの読者になる | 更新情報をチェックする

2013年03月29日

こども商店

今日は「こども商店」という商店会のイベントに参加させてもらいました。
小金井の子供にお店の仕事体験をしてもらおうというイベント。

昨年の様子
http://k-streetpower.blogspot.jp/2012/03/blog-post.html

うちは初参戦ですが、小学3年と4年の女の子にきてもらいました。
主にやってもらったのは篆刻体験。
小さいお子さんだったので、どのくらい出来るか不安でしたが、どっこい。
こんな具合よ。

まずは3年生(この春で4年)の作品。
shou3.jpg

どうですか、このクォリティー!
撃辺は私がやりましたが、
字入れから全部1人ですよ。
補刀もしていません。

そして4年生(この春5年生)
shou4.jpg

大人にやらせてもこれだけ出来るかどうか・・・
すごいでしょ?

それより人に教えるなんて初めてのことで、
楽しんでもらえたかどうか・・・
私の店のクォリティーが問題です。
posted by 上野雄一 at 19:10| Comment(0) | TrackBack(0) | はんこの話 | このブログの読者になる | 更新情報をチェックする

2012年12月14日

小篆・印篆・小篆風印篆

何度か説明してきましたが、言葉だけだと分かりにくいので、同じ文字で見比べていただくと分かりやすいかと思います。
左から小篆・印篆・小篆風印篆です。
みな「小金」という文字で書いてあります。
バランスの関係で小篆だけ太枠にしてありますが、
あくまで文字だけで比べてください。

kokin01.gif

簡単に説明すると、
もともと「小篆」が出来ます。
それをハンコ用に四角くしたのが「印篆」。
その印篆を線質表現で小篆風に(筆で書いたように)見せたのが小篆風印篆。

今回は分かりやすくはっきりした印篆の字形を使いましたが、
小篆の字形でバランスよく出来る事もあるので、
小篆と小篆風印篆の境界はあいまいです。

この小篆風印篆って回りくどくて紛らわしい呼び方なので、
何かいい言い回しがないですかね。
例えば・・・、「筆印篆」とか、考案者の名前を取って「瑞雲篆書」とか。

posted by 上野雄一 at 11:25| Comment(0) | TrackBack(0) | はんこの話 | このブログの読者になる | 更新情報をチェックする

2012年11月22日

『楽しい漢字』取材されました

先日手彫り印鑑について取材を受けました。
その本が出版されましたので、お知らせいたします。

記者さんが質問して私が答えるというインタビュー形式なので、正直そのときは何をしゃべったかあまり覚えていません。笑
後で沢山訂正しなくてはならず、記者さんにはご迷惑をおかけしました。

内容は主に印鑑と書体についてなのですが、
そのときブログに書いていた小篆風印篆の話題が多くなっています。
これ小篆と小篆風印篆の違いって、展覧会で賞とるような方でもあまり分からない方がいると思うので、一般の方が分かるか少し心配です。
ただ、手彫り印鑑について4ページにわたり、ご紹介いただくことなんてあまりないので、そこに載っている印影を見てもらえるだけでも貴重かなと思っています。

メインは漢字検定的な内容と漢字の歴史なので、普通に面白い本だと思います。
ご興味のある方、ぜひご購入を!

posted by 上野雄一 at 19:12| Comment(0) | TrackBack(0) | はんこの話 | このブログの読者になる | 更新情報をチェックする

2012年10月26日

料理の鉄人

チラッとしか見られなかったのですが、
『料理の鉄人』という番組をやっていました。

その場で課題を出題されて、制限時間内に料理を作る。
それを審査員が採点を公開する。

はんこ職人の競技会もこういう形式で出来ないかなと思います。
その場で文字と書体が出題され、初見で彫刻する。
審査員が実名で採点を公開する。

現在、はんこ職人の展覧会・競技会は主に3つあります。
そのうち、二つが出品形式、一つが会場で彫刻する形式、
ですが、出題方法は全て同じで、
事前に文字が出題され、書体は自由もしくは篆書で、どっちにしろ結局は小篆風印篆。

これ自体に批判的な気持ちは全くありませんし、
むしろこういう場を与えていただいてありがたいのですが、
その場で文字と書体を指定されて、初見で彫るという形式は普段の仕事振りが反映されて面白いでしょう。

ネットを使えば、自店にいて出来るので、出場者の負担はほとんどありません。
さらに出場者同士が採点しあってその採点を公開すれば、フェアですし、一般のお客様にもご覧いただけて、広く業界の技術をアピールできます。
どうでしょう。
はんこ職人のみなさん、腕がなりませんか?
posted by 上野雄一 at 23:54| Comment(0) | TrackBack(0) | はんこの話 | このブログの読者になる | 更新情報をチェックする

2012年10月06日

小篆風印篆について思うこと2

小篆風印篆ももちろん悪いことばかりではなく、字形はかっこ悪いですが、徐三庚風の強弱や終筆表現を取り入れたのはかなり革新的だったと思います。(しかし、徐三庚なら文字自体の怪しさはありますが、形のかっこよさや空間の使い方なども取り入れてしかるべきと思うのです。)

小篆風印篆が登場してからというもの、小篆を勉強しなくても、起筆終筆の処理だけ覚えれば、割りと簡単に表現できてしまうので、一気に他の書体を駆逐してしまいました。
先日具体的に変だと思っていることを書きましたが、一番気持ち悪いと思っているのは、多様性を認めない感じです。
書体に貴賎がないのは当たり前ですが、極端に言えば、
小篆風印篆=上手い
印篆=レベル低い
小篆=変・分からない
みたいな認識が職人の中に流布していないか、ということです。
単純に難易度で言えば、小篆風印篆より、印篆、小篆のほうが難しいはずです。もっと言えば楷書が一番難しい。
しかし、小篆風印篆しか評価されない。
多様性を認めないことは、価値観・物の見方が固定化し、やがて技術も衰退することでしょう。
実際、今は仕上げの技術だけを競っていて、篆書そのものの字形の美しさや空間との調和がないがしろにされている気がしてなりません。
(小篆風印篆が登場する前の職人さんは、いかに仕上げをしていないように見せるかということに苦心していたように見えますが、今は刀のキレを見せることのみが重要なようです)

小篆風印篆は印篆を小篆風に見せるという小川瑞雲氏のかなり独創的なアイデアで、独創的なものはいくら上手に真似しても所詮パクリにすぎないと思うのです。主流にすべきは本来の小篆と印篆ではないでしょうか。
ご同業の皆さん、どう思われますか?
匿名でも、実名でも構いませんので、ご意見いただけないでしょうか。
posted by 上野雄一 at 11:10| Comment(3) | TrackBack(0) | はんこの話 | このブログの読者になる | 更新情報をチェックする

2012年10月04日

小篆風印篆について思うこと

長くこのブログを読んでいただいている皆様には薄々感づかれておられると思うのですが、私、小篆風印篆があまり好きではありません。
自分としてはできるだけ小篆らしく四角く見えないようにしています。

今こんなことを言う職人はいないと思うのですが、おそらく小篆風印篆が出現した時には違和感を持った職人も多かったろうと推測します。
今誰も言う人がいないので、私が感じている違和感を書いてみます。

  1. 小篆と印篆を合体させるという考え方自体、気持ち悪い。
    小篆から印篆が作られて、それをまた小手先で小篆風にする。
    で、出来たのは小篆らしさの欠片もない字。
    そんなに小篆にしたいなら、小篆ではんこ彫ればいいのに。
  2. 文字がぎゅうぎゅう詰めで可哀想・・・
    小篆はもともと伸びやかな書体なのに、ぎちぎちに四角く詰め込まれる。
    印篆だって、もっと文字間、行間に余裕があります。
    さらに小篆は縦長の字形なのに、小篆風印篆では扁平にされることが多い。
    丸印ではぎゅうぎゅうどころか枠で字を欠けさせてもかまわないなんて、字が可哀想じゃありませんか。
  3. 筆法としておかしなことになってる時がある。
    例えば、「上」という字。
    ue.gif
    1が普通の印篆。
    実用印では左の空間を消したいためか2がよく使われます。
    2を筆っぽい表現にした、いわゆる小篆風印篆が3です。
    起筆の打ち込みや終筆のトメを表現します。
    (本来小篆は起筆終筆をあまり表現しませんが、して悪いということもないので、それはおいといて)
    よく見てください。
    楷書での縦画にあたる字画の起筆どこでしょうか?
    ・・・
    ほーら、気持ち悪い。
    筆で下から上に書くなんてありえないのに、そう見える。
    筆の動きを表現しているのに、気持ち悪いですね。
だれも言わないんですけど、私の考え方がおかしいんですかね?
posted by 上野雄一 at 15:54| Comment(0) | TrackBack(0) | はんこの話 | このブログの読者になる | 更新情報をチェックする

2012年10月03日

お金は人に払うもの

このたびの移転で自分にしては大きなお金を使う機会があったので、それはそれで勉強だと思うのです。
そこで思ったのは、買い物って、この人に払ってよかったな、と思えるかどうかが大きいなということです。

不動産屋さんは東京中自分の足で物件を探し回っていただき、にもかかわらず契約の時に「この条件では上野様に不利益になってしまう可能性がありますので、契約できません」って言ってくれて、本当に信頼できるなって思いましたね。

それからリフォーム屋さんも、うちがなかなか物件が決まらないので、何度も無駄足をさせてしまったのですが、全く嫌な顔せず良くして頂き、本当に運が良かったです。

一方、某業者はお金の話ばかりするので「オレは同じ者作りしてる人間だから、値切ったりしないから、その代わりいいものを作ってくれ」って言ったんですけど、何も響かない感じで・・・、オマケに現物大きな間違いしてきて「お前、これ全然違うだろ」って怒鳴ったら、「あれー、なんでこうなっちゃったのかな。でも、上から貼り直せば同じですんで」
・・・怒るの止めました(笑)
いや、間違いまではいいのよ。
「すみません。ちゃんと直しますんで」って頭下げれば、「まぁ、間違いは誰にでもあるから」ってなるんですけど。
本人の気持ちの中に申し訳ないってのはなくて、ヤバイってだけなんですよね。
いい仕事をする意識じゃなくて、仕事をこなすだけの意識。
50万弱、払った気がしなかったですね。

自分も間違いはします。でも、誤魔化すようなことはしてはいけないですね。
この人に頼んでよかった、って思われるはんこ屋にならなくては・・・
難しいことですが。
posted by 上野雄一 at 19:00| Comment(0) | TrackBack(0) | はんこの話 | このブログの読者になる | 更新情報をチェックする

2012年10月02日

手彫りは大変

先週の土曜日、年に一度のはんこ屋の展示会がありまして、そちらで偶然「印善」さんに声をかけていただきました。
(私が見たネットショップの中では唯一誤魔化しの見えない手彫りを販売しているお店です。)
で、やはり手彫りの話になったのですが、印善さんでも大変なようです。
ちょっと手彫りの仕事が立て込むと、他の仕事が出来なくなるとか、手彫りも断らなくてはいけなくなるとか、同じ悩みを持っていらっしゃいました。
手彫りは本当に大変なのです。
印善さんは、私が考えている手彫りの最安値くらいのイメージです。
それで大変だと仰られているので、それより安いお店は疑ったほうがいいですね。
posted by 上野雄一 at 10:55| Comment(0) | TrackBack(0) | はんこの話 | このブログの読者になる | 更新情報をチェックする

2011年08月22日

そろそろ大印展

皆様、夏休みはゆっくり出来ましたか?
私は私生活で色々あり、バタバタして終わりという感じです。

そんなこと言ってる間に、大印展の締め切りが一ヶ月後に迫ってきました。
今回でちゃんと取り組んで、三回目。
今まではあくまで普段の仕事の延長という感じで、
特別に準備もしていなかったのですが、
今年は割と時間が取れそうなので、
お盆明けからすでに取り組み始めています。

角印の部の課題は「東北関東大震災復興支援」。
11文字なので、普通に考えれば3行で、
「東北関東・大震災・復興支援」か、
「東北関東・大震災復・興支援」のどちらかだと思います。
前者だと真ん中の行「大震災」の画数が少なくスカスカなってしまうので、私は後者でいきます。
おそらく一番無難な選択でしょう。
左の下書きが
「東北関東・大震災・復興支援」です。
右は4行の小篆。
daishinsai.jpg
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2011年07月04日

色んな書体を彫ります

前回、私は印影について特殊な考え方をしていると、書きましたが、少し補足させていただきます。

特殊といっても、今の主流を否定しているわけではなくて、それも踏まえた上で、もっと幅広く様々な印影を許容したいと考えています。

今主流なのは、小篆風印篆という書体で、前にも書きましたが、展覧会、競技会でもほぼこの書体一色です。
私もこの書体が悪いとは思っていませんし、一応この書体で賞もいただいておりますが、この書体だけ彫れれば評価されてしまうという風潮は、少し行き過ぎのような気がします。

では、自分はどうなんだというと、復古主義的というか、小篆風印篆が席捲する以前の様々な書体を彫っていた、試みていたころの感じが好きです。その上で、新しく面白いものが出てくれば、それもまたいいかなと思っています。

お客様のご希望が第一ですので、それに応えるために、様々なものを彫れるようにしておく、というのが私の考え方です。

ちなみに今年はまだ小篆風印篆彫ってません。
去年二つの展覧会に出品したため小篆風印篆ばかりになってしまったので、反省を込めて、出品作以外は出来るだけ他の書体にスポットを当てたいと思いました。
今月も他の書体を彫ります。お楽しみに。
posted by 上野雄一 at 16:16| Comment(0) | TrackBack(0) | はんこの話 | このブログの読者になる | 更新情報をチェックする

2011年04月07日

篆書の見方

篆書(てんしょ)の見方なんて大仰なタイトルをつけましたが、本当は見方なんて千差万別でいいんです。
ただ、あまりにも馴染みがないので、少し取っ掛かりになれば嬉しいなと思って書きます。

まずオーソドックスな篆書の印鑑を見てみましょう。
小原正子(印篆)
「小原正子」と彫ってあります。

「読みにくく複雑」
「ゴシック体みたいなただの線」

私が最初に抱いていた篆書のイメージはこんな感じです。
皆さんも同じではないでしょうか。
もしかしたら今の字(楷書)をテキトーにデザインしたもののように思われるかもしれません。

しかし、篆書は中国の秦が公式に使った書体。
つまり、今我々が楷書を使っているように、当時は篆書を使っていたわけです。
もちろん紀元前200年ごろのことですので、
今ほど普及・体系化はされていなかったでしょうが、
今テキトーにデザインしていいわけではなく、
これは誤字、これは格好悪い、ということがあります。

当時の石碑に残っている篆書。
shouten1.gif

これが書として発展します。
shouten2.gif

この秦で使われ、書として発展したこの篆書を「小篆(しょうてん)」と言います。これが篆書の代表格です。

一方で小篆はハンコに収めるには、縦長でバランスがとりにくい。
そこで字画を増減したり、折り畳んだりして、収めるようになりました。
これがハンコ用の篆書、印篆(いんてん)です。
小原正子(印篆)
最初にご覧いただいたこの印が印篆です。
いわば小篆のゴシック体。
ただ、ゴシック体と違うのは、字画を増減したり、折り畳んだりすることがあること。
その折り畳み方によって、同じ字でもいくつかバリエーションがあったりすることです。
で、この折り畳み方を間違えると違う字になったり、誤字になったりするので、知識が必要。
(古い字で体系化されていない部分もあり、誤字かどうかは人により判断が分かれるところもあります。)

しかし、彫刻機が普及したこともあり、今はハンコ職人もほとんど篆書について勉強しません。
さらに最近普及している印相体(吉相体・八方篆書体)では、運気を上げるため、八方とか六方の枠に字画をつけなくてはならないとかいうので、ありえない曲げ方を平気でしたりします。

この印相体のかっこ悪さを説明したいのですが、
楷書で考えれば、少し分かりやすいだろうと思います。
例えば「田」の字。
ta_kaisho.gifta_gothic.gif
楷書とゴシック体です。

小篆でもほぼ同じ字画。
ta_shouten.gif

印篆では主に下の3つが使われます。
ta_inten.gif
基本的には小篆に忠実な左の字が望ましいけど、
右の2字も使っていいという感じです。

それでは、はんこにして見てみましょう。
「田」の2字を使って書いてみます。
まず印篆。
tata_inten.gif

で、印相体は枠の八方に字をつけなくてはいけないらしいのですが、
「田」はに四角いので、枠に付くのは斜め方向の四隅だけ。
上下左右にどうやっても字が付かない。

そこで印相体ではこんなふうにしてしまうのです。
tata_insou.gif

あぁ、かっこ悪い。
というか、ありえない・・・

どうありえないかというと、
楷書でこんなことしないでしょ?

ta_not.gif

篆書もこんなことしたら、かっこ悪いし、誤字にもなるんです。

あれ?
でも、楷書では
ta_inten1.gif
こんな曲げ方しない。
篆書はいいの?

これは難しいところで、意見が分かれるところでもあります。
書道では、はんこ用の篆書である印篆は使わないので、ダメです。

しかし、はんこでは
ta_shouten.gif
これが一番望ましいけど、
出所の正しい記録があるものは、ダメではない。
でも、人によってはダメって言う人もいる。
そのくらいの感じでしょうか。

この印篆のルールは、
文字にもよるし、明確にあるわけではないのですが、
まずは小篆に基づいた字画。
そして、使われた記録があること。
要するに字書に載っている字。
(字書もたまに間違いがあったり、見解が分かれます)

しかし、実用印では字を作らなくてはならないことがあります。
篆書と楷書では大きく字画が異なってる場合や、
日本で作られた字など篆書にない文字の場合です。
この場合、勝手に字を作るのは本来よくないことですので、
勝手に色々曲げるのではなく、
部首の組み合わせにとどめる。

さらにそれ以上の作字がどうしても必要な場合は、
印篆の通例に従った曲げ方にとどめる。
基本的には四角の中に収まるようにです。

tata_insou.gif
こんな外に飛び出すような曲げ方や、
勝手に一画足すなんてことは論外。
私は作字に寛容なほうですが、
それでも常識的な範囲というものがあります。

今回は印相体を引き合いに篆書について書きましたが、
「枠の八方に付ける」
というのはそもそも文字にとって無理のあるルールです。

馴染みのない方にもということで、
篆書を楷書に当てはめてみたりと少し強引な説明ですが、
はんこ屋がこんなおかしな篆書を垂れ流してるってことだけでも
伝われば嬉しいですね。
posted by 上野雄一 at 19:13| Comment(2) | TrackBack(0) | はんこの話 | このブログの読者になる | 更新情報をチェックする

2011年01月14日

お客様からのお手紙

このブログをご覧いただいているというお客様からお手紙をいただきました。
技術を持つはんこ屋が少なくなっていることをご憂慮くださってのことですが、これについて書き始めると一回の投稿では収まりそうもありませんので、おいおい少しずつ書いていきたいと思っています。

それから印材についてのお問合せですが、
45mm丈のサヤ付もお取り扱いできますよ。
お値段は見積もりとなりますので、お問合せ下さい。
よろしくお願いします。

印章業界のために一般のお客様が時間をとって文章を書いて、切手を貼ってお手紙を出していただけるなんて、本当にありがたいことです。ありがとうございました。
posted by 上野雄一 at 15:16| Comment(0) | TrackBack(0) | はんこの話 | このブログの読者になる | 更新情報をチェックする

2010年12月26日

市議会議員選挙

今日は自宅のある西東京市の市議会議員選挙。
もちろん投票してきました。
しかし、正直悩みました。
なぜならみんな書いてあることが同じなのです。
「地域、子育て、安心」
それに学歴と肩書き、推薦人の羅列。
ほんと判で押したように同じ。
候補者はいるのに、選択肢がない。

でも、振り返るとはんこ屋も同じじゃないかと思うのです。
お店はたくさんあるけど、印影の選択肢ってほとんどない。
私はもっと選択肢を提供したいです。
いろんなこと出来るってところを見てもらいたい。

それに自分も同じ穴のむじなだけど、
経歴とか肩書きで自分を着飾るのは何かむなしい。
商売のためと思っていろいろ書いたりするけど、やっぱり違和感がある。
自分の力量は自分が一番分かっているし、
はんこを彫れば彫るほど、自分がすごい職人だなんて言えなくなる。
はんこって馴染みがないので、難しいと思うけど、
やっぱりお客様には印影を見た直感みたいなもので選んでもらいたい。
そう思ってハンコを彫り続けます。
もう結構な数になってきたけど、まだまだ。

河野裕子さんの歌にこんなのがあった。

「肩書きがいくつもつきくる齢なのよ花数少なき椿がきれい」
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2010年12月20日

職人であるために

女性的な印影
男性的な印影

洗練された印影
素朴な印影

スッキリした印影
どっしりした印影

私は出来る限りお客様のご要望に応えたいと思っています。
しかし、自身の価値観を広げておかないと、
様々なご要望にお応えすることは出来ません。

たくさんの芸術作品に触れることは、
たくさんの考え方に触れることです。

これは私が職人であるために重要なことです。
まぁ、単純に色々なものを見るのは楽しいんですけど。

posted by 上野雄一 at 12:11| Comment(0) | TrackBack(0) | はんこの話 | このブログの読者になる | 更新情報をチェックする

2010年12月08日

手彫りって面白い

前にも書きましたが、手彫りに否定的なはんこ屋さんが多いです。
肯定的だと思っても、明らかに手で彫ってないと思われるものだったり、
過剰に手彫りの価値を強調しているものだったり。

はんこを手で彫るって私の中ではもっと普通のことなんですよ。
普通に手彫りって面白いと思うんだけどなぁ。
はんこ屋さんの中で手彫りが面白いって思ってる人いないの?

はんこ職人の皆さん、自分が彫り始めた頃を思い出して下さい。
上手くいったりいかなかったり、とにかく一生懸命彫った時を。
単純に彫るのが面白くなかったですか?

そりゃあ今のほうが腕は上でしょう。
だけど今その時の情熱でお客様の印鑑を彫っていますか?
案外今彫っている印鑑より、初めて彫った稚拙な印鑑のほうがいいかもしれませんよ。

自分が面白がらないと面白い印影は彫れません。
手で彫ったほうが面白いじゃん。

出来上がりだって、上手い人が彫れば上手く、
下手な人はそれなりに(笑)
同じ人が彫ったって手間の掛け方で出来上がりが違う。
いや、同じ人が同じ手間掛けたって毎回違うんです。
それって印鑑の本質じゃない?
いつでも均質なものっていうのもいいけど、
手作りって面白い。

私にとって手彫りとは初めて彫った感動を持ち続けること。

なんて格好つけてみましたが、簡単そうで案外難しいのよ。
posted by 上野雄一 at 10:42| Comment(0) | TrackBack(0) | はんこの話 | このブログの読者になる | 更新情報をチェックする

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